※最近の建築屋と施主を取り巻く環境
建築において、2000年に法の大改正が行われました。材料や構造方法を具体的に規定して、それが使われていれば良いとする「仕様規定」に対し、ある一定の性能を満足すれば、材料の種類や構造方法を問わず適法とする「性能規定」となったことです。この性能基準をクリアしているかどうかを検証する方法として「限界耐力計算」や「避難安全検証法」「耐火性能検証法」などがあります。しかし、これらは一般の人達には馴染みの無い事です。
避難検証法では、「避難に支障のある高さまで煙が下りてくる時間が、避難に必要な時間よりも長くなるように設計する。」としていますが、「煙が来る前に逃げる事が出来るように設計しなさい」という当たり前の事が、今頃決まったのかしら?と一般の人達は思うはずです。
さて、では一般(施主)の人にとって、何が迫って来ているか、技術者にも理解してもらわなければ成らない事があります。それは、建築だけが法を改正されたわけではないと言う事です。大きな事として、時価会計の導入です。企業が購入した株の株価が、購入したときより著しく損している場合、「損をしている」と報告しなさい。というものです。おや?これまた当たり前の事ではないか?と思われるでしょうが「含み損」を抱えたまま、毎年決算を迎えていたわけです。上場企業と銀行は、互いの株を持ち合い、大きな株価の変動に対応し操作してきました。しかし、長引く不況に耐えられず、各企業の株価は下落しました。そこに時価会計の導入です。互いの株を持ち調整する事は不可能になりました。当然、手放された株の株価は下がります。いわゆる「失われた10年」と呼ばれる物です。これに追い討ちをかけるものとして「減損会計」の導入が迫っているのです。
減損会計とは、土地建物を購入したときより著しく損をしている場合、「損をしている」と報告しなさい。というものです。
※来年3月に迫って来た建築屋と施主の環境
減損会計の導入は、「販売用不動産(本来は流動資産扱い)」と言う名前の固定資産を莫大に持つ建設会社や、業況指数からも判断できる1988年以降のバブル期に土地建物を購入した企業(施主)にとって、「今日、この時を持って損は損と報告しなさい」と突き付けられている物です。株と異なり、切り売りする事は出来ません。従って、下手をすればドンドン値下がりするのを、指をくわえて見つめるだけになる可能性もあります。
強烈な構造改革を待つまでも無く、この減損会計導入だけで、上場企業の倒産は増大します。もっとも、現在の株価は、それを折込済みと考えるのが普通でしょうから、果たしてそうなるかは、その時が来なければ解からないとも言えますが、折込済みである事を祈ります。
※企業の対応策を建築業界から提案
政治家では有りませんから、一気に片付ける方法はありません。しかし、徐々にではありますが継続的に続ける事で、解決に導く方法はあると考えています。それは建物の評価方法としてインターネットを利用する事です。地道な話ですが現在の建物状況をホームページとして公開する事です。(エンジニアリングレポート=カルテの公開)
減損会計に対応するには、固定資産である土地建物を流動資産に持っていく方法が考えられます。不動産の証券化を行い、土地建物を切り売りできる状況にする事で流動化は可能となります。しかしその証券を販売するに当り優良な証券である証明が必要です。(アカウンタビリティ)
ある企業の株を購入するさいに、その企業の情報をインターネットから検索して、その企業の財務内容を確認するのは当たり前であり、企業側もその準備をしているのは、当然の世の中になりました。上場企業でそれの無い企業を探す方が難しい状況です。しかし、その財務内容は、良いとも悪いとも書いていません。判断するのは購入する「あなた」と言う事です。
同様に、証券化された不動産の情報もインターネットで確認できる必要があります。財務内容として、家賃収入などに対して建物の維持管理の為の支出が見合う物かを確認したいところです。そのためには、維持管理の計画(長期修繕計画)が確りしているか、建物その物(エンジニアリングレポート)が確りしているか、を証明出来る事が望ましいと言えます。
最近では、維持管理の数字的な資料(長期修繕計画)は、建物が竣工したときにゼネコン側から竣工図と共に納められているようです。改修工事などのリフォームを随時契約するために有効な手段です。それすらしないゼネコンは問題外として、数字的資料をインターネットに掲載する事が必要です。また、竣工後のリフォームに対応して行った経過のわかる図面も必要です。(新たなカルテの作成)
古い基準で立てられた物を大規模改修する場合、当然新基準で対応しなければなりません。特別避難階段に非常用エレベータを有するような規模の建物であって、初めて証券化が可能な建物の規模であったと言えるわけです。機械排煙や加圧排煙を駆使して計画しなければ成らなかったような、大規模な建物が証券化の可能な規模の建物という事です。更にレンタブル比を確認できる状況である図面があれば、なおさら良い事に成ります。それらを新基準で可能にするためには、インターネットに掲載されている図面を測ろうと思えば詳細寸法まで測れる必要があります。
また、「煙が来る前に逃げる事が出来るように設計しなさい」という単純な話には、実際に逃げるのにどれくらいの時間がかかるか、が想像できる物が必要です。(動画による避難経路図)そのような事に対応できている建物が、オーナーにとって価値ある建物ではないでしょうか。
※弊社では、インターネット上で寸法を確認しながら建築施工図・
実施設計図作成を行う事が出来ます。
また、平行して避難経路シミュレーションも提供できます。
株式会社アートヴィレッヂ 代表取締役 原 行雄
管理建築士 山崎 雅之
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